「就寝前の読み聞かせは、なぜいいの?」
「寝かしつけにぴったりの絵本って、どんなもの?」
「子どもに何度も読むように言われたら、どうしたらいいの?」
そんな寝かしつけ絵本に対する疑問を解決し、多くの家庭で選ばれた寝かしつけ絵本のミリオンセラーと受賞作を紹介します。読み聞かせを通して、心地いい眠りへと誘われる作品を寝かしつけに取り入れてみてはいかがでしょう。
寝かしつけ絵本の効果とは?
おやすみのルーティーンになる
寝かしつけの基本に睡眠前のルーティーンの確立があります。絵本は睡眠の導入として、多くの専門家に推奨されています。なぜなら、入眠をスムーズにし、眠りの質を高める効果があるからです。
読み聞かせ→電気を消す→就寝というリズムの習慣化により、子ども自身が眠る時間をしっかりと認識します。
さらに、寝かしつけ絵本を楽しみする気持ちが子どもを寝室へと誘います。「まだ部屋のおもちゃで遊びたい」から「ベッドで絵本を読んでもらおう」と気持ちの切り替えを手助けします。
学びの時間になる
良質の絵本は生き抜く力を得るための教科書です。言語能力、文字認識能力、知識、想像力、芸術的センスなどを高めます。
また、睡眠には記憶の定着という重要な役割があります。
浅い眠りであるレム睡眠時に、起きている間に得た経験や学びを脳に覚えさせているのです。就寝前に絵本に触れることで、より多くの学びの吸収が期待できます。
親子の仲良しタイムができる
読み聞かせは貴重なコミュニケーションの時間になり、親子の信頼感を高めます。ひとつの絵本を共有することで、共通の世界観の中で遊ぶことができます。
また、家族の体温や匂いを近くに感じることで、体はとても安らいでいきます。
特に幼い頃は、親が絵本を読む声を自分に語りかけているように感じています。自分だけのために絵本を読んでもらった実感が、子どもの自己肯定感を高めます。子どもは頑張った1日を安心感に包まれて終わらせることができるでしょう。
寝かしつけ絵本の選び方のポイントは?
寝かしつけ絵本の選び方ですが、基本的には心地よい眠りの入口になるものを選びましょう。特に寝かしつけを目的として描かれた絵本には、肯定された幸せな気分でまどろみへ向う良書が多くあります。
また、親子の繋がりを描いた絵本は子どもに安心感を与え、月や静かな夜をテーマにした絵本は就寝時間を意識させる効果があります。
もちろん、子どもやおうちの方が読みたい本を選ぶことも良いコミュニケーションになるでしょう。
寝かしつけに向かない絵本はあるの?
怖い内容や不安な気分になるものは避けましょう。色々な絵本を経験させるのはとても良いことですが、そういったジャンルは昼間に読むのがおすすめです。
寝かしつけ絵本として、子どものお気に入りの絵本を選んだ場合、繰り返し読み聞かせをせがまれることがあります。
大好きなキャラクターやのりものなどに興奮し、入眠への意欲が落ちた状態です。
読み始める前に「2回読んだら眠ろうね」など回数を約束し、秩序だった対応をしましょう。
年齢別おすすめ寝かしつけ絵本
0から1歳におすすめの寝かしつけ絵本
もうねんね(松谷みよ子赤ちゃんの本シリーズ)
1968年から長く愛され、2020年現在、165万部の売り上げを記録しています。松谷みよ子赤ちゃんの本シリーズはファーストブックとして不動の人気。絵本の発行部数第一位の「いないいないばあ」もこちらのシリーズです。
版画家でもある瀬川康夫さんの味わい深い絵が特長。子どもにとって身近ないぬとねこ、にわとり、女の子がまどろむ様子が描かれています。気持ちよさそうに眠る登場人物と「ねむたいよう」「ねんねねんね」と心地良いリズムで繰り返される言葉が、読み手を眠りへと誘います。
おつきさまこんばんは
お月さまの顔は、ぷっくりとしたホッペにつぶらな瞳でまるで幼い子どものようです。瞳を閉じたり、舌を出したり、笑ったりと魅力的な表情の連続が子どもを集中させます。いないいないばあ絵本としても楽しめる絵本です。
一方、地上では屋根の上に2匹のネコのシルエットが浮かび、手を繋いだお母さんと子どもはお月さまに手を振ります。赤ちゃんのための絵本ですが、読むたびに発見のある作品です。
2歳から4歳におすすめの寝かしつけ絵本
おやすみ、ぼく
眠る前のひとときに、チンパンジーの坊やが「おやすみ、ぼくのあしさん。きょうもうーんとはしったね。」と自分の体に言葉をかけます。
続いて、ひざ、もも、おなか、おしり、むねと全身を労います。やがて頭を枕に乗せると、静かな夜の眠たい匂いに誘われ、お母さんの存在を感じながらうっとりと夢に落ちていきます。
ゆっくりと時間をかけて、順番に全身を愛おしむチンパンジーの姿が読み手に重なり、深いリラックス効果を生みます。
よるくま
主人公の男の子がよるくまと、まどろみの中の幻想的な世界を旅する姿が美しく表現された絵本です。物語はベッドについた男の子がお母さんに「ママ あのね」とお話をするように書かれています。
お母さんがよるくまのために釣ったお魚と自転車を買ってあげる約束、あったかいと褒めながらするだっこ、寝かしつけ、どれも愛情に満ちた行為を描いています。お母さんを求める子ども心を「あなたも愛された存在だよ」という救いで包み込む優しい絵本です。
おやすみ、はたらくくるまたち
ブルドーザーやショベルカー、ミキサー車、ダンプカー、クレーン車。強い働きぶりの車たちは昼間にはそれぞれの特技を生かし、勤勉に働きます。やがて夜になると、満たされた気持ちでエンジンを止め、静かに眠りつきます。
語感の良いやわらかな言葉と、くるまたちや太陽の光を傍に感じさせる絵は読み手の一日を褒め、包み込みこんでくれるようです。
4歳からおすすめの寝かしつけ絵本
おやすみ、ロジャー
こちらの絵本は、行動科学者である作者が子どものたちの寝つきをよくする目的で執筆しました。2014年に英訳されると、アマゾン総合ランキング1位を獲得し、その後有力メディアが異例の特集を組んだことから、世界的ベストセラーとなりました。
ロジャーは眠りたくても眠れない小さなうさぎです。おねむのカタツムリやウトウトフクロウ、あくびおじさんの力を借りながら、眠りへと向かって行きます。
この本のもう一人の登場人物は、読み手です。おやすみロジャーには眠りへと導く心理学に基づいた仕掛けがいくつも施されています。
【なまえ】の箇所にお子さんの名前を入れることが、そのひとつです。
他にも「いますぐ眠くなる」「すっかり体の力が抜けて楽になりました」などの太文字は強調して、「3、2、1 ねむたーい、ねむたーい、もう寝ちゃった」などの色文字はゆっくり静かな声で読むよう指示されています。
「おやすみ、ロジャー」は大人が読み聞かせするタイプの絵本。
「読み始めて10分で寝かしつけが終わった!」という喜びの声がある一方、「指示通りにゆっくり読むと、読了まで40分かかった」という声が聞かれます。
良書ですので、時間や体力のある時にぜひチャレンジしてください。
まとめ
寝かしつけ絵本は子どもの安心感や自己肯定感を高めます。
しかし、良質の睡眠を必要としているのは子どもだけではありません。紹介した6冊は読み聞かせするおうちの方も癒す絵本です。
頑張った1日が労われ、気持ちよくまどろむ感覚をぜひ共有してみてください。