
「なかなか寝てくれない赤ちゃんに、おしゃぶりを使ってもいいのかな?」「クセになったらどうしよう…」と悩んでいませんか。夜中に何度も起きる時期は、少しでもラクに寝かしつけたいですよね。
おしゃぶりは、正しく使えば赤ちゃんの入眠をサポートしてくれる心強いアイテムです。一方で、使い始める時期や卒業のタイミングを間違えると、母乳育児や歯並びに影響することも。
この記事では、日本小児科学会・米国小児科学会(AAP)の見解を参考にしながら、おしゃぶりを寝かしつけに使うメリット・注意点・卒業の目安までを、月齢別・シーン別にわかりやすく解説します。
寝かしつけにおしゃぶりを使うメリットは?
赤ちゃんには生まれつき「吸啜(きゅうてつ)反射」という、口に触れたものを吸う本能があります。おしゃぶりを吸う動きは、母乳やミルクを飲んでいるときの感覚に近く、赤ちゃんに安心感を与えてくれます。
これは単なる気休めではなく、非栄養的吸啜(nonnutritive sucking)と呼ばれ、赤ちゃんの自己鎮静(自分で気持ちを落ち着ける力)を助けることが知られています。0〜6か月頃の泣き止まない時間帯(いわゆる「たそがれ泣き」)や、寝入りばなの寝ぐずりで特に効果を感じる家庭が多いようです。
SIDS(乳幼児突然死症候群)予防にも関連
米国小児科学会(AAP)は、1歳までの間、昼寝や就寝時におしゃぶりを与えることがSIDSのリスク低減に関連すると2022年の睡眠環境ガイドラインでも示しています。予防のメカニズムは完全には解明されていませんが、次のような可能性が指摘されています。
- 吸うことで気道が広がり、呼吸が確保されやすい
- 眠りが深くなりすぎるのを防ぐ(覚醒反応が保たれやすい)
- うつぶせ寝を防ぎやすい姿勢になる
ただし「おしゃぶりを付けたから絶対に安全」というわけではありません。仰向け寝・固い敷布団・掛け布団の顔掛かり回避など、基本の安全対策とセットで考えることが大切です。
月齢別・おしゃぶりの使い方の目安
寝かしつけにおしゃぶりを取り入れるとき、月齢によって注意すべきポイントが少し変わります。以下の表を目安にしてください。
| 月齢 | 使い方の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜1か月 | 母乳育児が軌道に乗るまでは基本控える | 乳頭混乱を避けるため |
| 1〜6か月 | 寝かしつけ時のみ短時間使用 | 入眠したらそっと外す |
| 6〜12か月 | 夜の入眠儀式として活用OK | 離乳食が進み、日中は減らす |
| 1〜2歳 | 徐々に卒業へ | 言葉の発達・歯並びに配慮 |
| 2歳以降 | 基本的に卒業 | 絵本など他の入眠儀式へ移行 |
寝かしつけの手順
- 赤ちゃんを仰向けにしてベビーベッドに寝かせる
- おしゃぶりをそっとくわえさせる
- スースーと寝息が聞こえてきたら、そっと口から外す
- 途中で落ちても、無理に入れ直さない
「寝入ってから外す」のがポイントです。一度深く眠ってしまえば、次に目を覚ましたときにおしゃぶりを探して泣くことを減らせます。特に生後6か月を過ぎると、夜中に「おしゃぶりが口にないと再入眠できない」というクセにつながりやすいので注意しましょう。
おしゃぶりの選び方|安全なものを選ぶ2つのポイント
市販されているおしゃぶりはデザインも素材もさまざま。寝かしつけに使うなら、まずは以下の2点をチェックしてください。
① 素材はシリコンまたは天然ゴムを選ぶ
塩化ビニル(PVC)製の乳首は、素材を柔らかくするために「フタル酸エステル」などの可塑剤が使われていることがあります。日本では乳幼児向け玩具への使用が規制されていますが、海外通販などで購入する場合は特に注意が必要です。「シリコン製」「天然ゴム製」と明記されたものを選ぶと安心です。
② 月齢・口のサイズに合ったものを
新生児用、3か月〜、6か月〜など、サイズが分かれています。大きすぎると口から落ちやすく、小さすぎると誤飲リスクが上がります。パッケージの月齢表示を必ず確認しましょう。
③ 同じデザインを繰り返し使うと「入眠儀式」に
赤ちゃんは視覚・触覚で「いつものもの」を認識できます。毎晩同じおしゃぶりを使うことで、「これをくわえたら寝る時間」という条件付けができ、寝つきがスムーズになりやすくなります。予備を用意する場合も、なるべく同じ形・色で揃えるのがおすすめです。
寝かしつけにおしゃぶりを使うときの注意点
母乳育児中は「授乳が安定してから」
生後間もない時期におしゃぶりを与えると、乳頭混乱(ママの乳首とゴムの乳首の吸い方の違いに戸惑い、母乳を上手に飲めなくなる状態)が起こることがあります。母乳育児を続けたい家庭では、授乳が軌道に乗る生後3〜4週間以降を目安に取り入れると安心です。
長時間の連続使用は避ける
1日中くわえさせていると、噛み合わせや発語の発達に影響することがあります。寝かしつけと、どうしても泣き止まないときの短時間使用にとどめ、機嫌の良い日中はできるだけ外して、声かけやスキンシップで気持ちを満たしてあげましょう。
紐で首まわりに固定しない
寝ている間に落ちるのが心配で、紐やクリップで衣服やベビーベッドに固定したくなるかもしれません。しかし、寝ている赤ちゃんの首まわりに紐状のものがあると窒息リスクにつながります。就寝時は必ず外してください。
清潔に保つ
おしゃぶりは1日1回は煮沸消毒または専用の消毒液で洗浄を。乳首部分に亀裂が入ってきたら、破片誤飲を防ぐためすぐに交換しましょう。
おしゃぶりの卒業はいつ?やめ方のコツ
日本小児科学会は、1歳を過ぎたら常時使用は避け、遅くとも2歳半までには卒業することを推奨しています。長期間の使用は次のような影響につながる可能性があるためです。
- 開咬(前歯がかみ合わない)や出っ歯などの歯並びへの影響
- 口呼吸のクセ
- 発語の機会が減ることによる言葉の遅れ
ステップアップでゆるやかに卒業
- 日中の使用を減らす:まずは起きている時間は外す
- 寝る前だけに限定:入眠時のみ使用し、寝たら外す
- 入眠儀式を置き換える:絵本の読み聞かせ、子守唄、背中トントンなど
- 思い切って卒業:「もうお兄さん/お姉さんだから」と話し、数日は寝つきが悪くても付き合う覚悟で
筆者の周りでは、「〇〇(キャラクター)にバイバイしよう」と一緒に袋に入れて片付ける、誕生日を区切りにする、といった方法で卒業できた家庭が多い印象です。3日〜1週間ほどで新しい入眠儀式に慣れる子が多いので、家族で協力して乗り越えましょう。
指しゃぶりへ移行したときの対応
おしゃぶり卒業後、代わりに指しゃぶりが増える子もいます。指しゃぶりは4〜5歳頃までに自然に卒業できるケースが多いので、無理にやめさせず、日中は手を使う遊び(お絵かき・ブロックなど)を増やしてあげましょう。
おしゃぶりの代わりに|添い乳・スリング寝かしつけの注意
「おしゃぶりに頼らず寝かせたい」と考えるママの中には、添い乳や抱っこ紐での寝かしつけを選ぶ人もいます。ただし、いずれもSIDSや窒息のリスクとは無縁ではありません。
- 添い乳:ママが眠ってしまい、乳房や布団で赤ちゃんの口鼻をふさぐ事故が起きやすい
- 抱っこ紐・スリング:顎が胸につく姿勢(Cカーブが強すぎる)で気道がふさがれる恐れ
授乳が終わったらいったんベビーベッドに戻す、抱っこ紐で寝てしまったら平らな場所に寝かせ直す、といった基本を守ることが大切です。おしゃぶりの是非だけでなく、寝かしつけ後の「寝る環境」自体をどう安全に整えるかという視点を持ちましょう。
まとめ|おしゃぶりは「上手に頼って、上手に卒業」
おしゃぶりは、赤ちゃんの寝かしつけをラクにしてくれるだけでなく、SIDSリスクの低減にも関連するとされる便利なアイテムです。一方で、使い始める時期・使い方・卒業のタイミングを間違えると、母乳育児や歯並びなどに影響することもあります。
- 母乳育児が軌道に乗る生後3〜4週間以降からスタート
- 寝入ったらそっと外す
- 1歳を過ぎたら少しずつ卒業へ、遅くとも2歳半までに
- 紐での固定はNG、就寝時は必ず外す
- 絵本や子守唄など、次の入眠儀式を用意しておく
「使う」「使わない」の二択ではなく、赤ちゃんとママ・パパの状況に合わせて上手に付き合っていくのがコツです。育児中の睡眠不足はとてもつらいもの。頼れる道具は上手に頼りながら、家族みんながぐっすり眠れる日々を目指していきましょう。


