生まれて数ヶ月は、1日の中で何度も泣く赤ちゃんもいれば、長時間眠る赤ちゃんもいますね。これは、母乳の栄養バランスが起因していることがあります。
母乳は、ママの食事から作られます。
この記事では、赤ちゃんがぐっすり眠るための栄養素を含む母乳を作るにはどのようにしたらよいか、食生活のポイントをお伝えします。
赤ちゃんの眠りと母乳の関係
母乳は、1日の生活リズムに合わせて分泌されるホルモンの変化に伴い、日中と夜とで少し成分が変わります。
夜、私たちが眠くなるのは、メラトニンというホルモンの働きによるものです。ママの体内でメラトニンが働き始めると、母乳にも分泌されて赤ちゃんの眠りも促します。
つまり、赤ちゃんがぐっすり眠れるかどうかは、母乳の中のメラトニンが影響しているのです。
母乳のメラトニンを増やすために大切なこと
私たちの身体は、朝目覚めて光を浴びることで、夜に向けてメラトニンが作られる仕組みになっています。また、メラトニンが作られるためには、材料となる栄養素も必要です。
ですから、メラトニンを増やすためには、朝日と共に目覚める生活リズムを習慣にすることと、必要な栄養素を十分に摂れる食事の2点が大切です。
赤ちゃんが夜ぐっすり眠れる母乳を作るには?
私たちの身体は、水分を除き主にタンパク質でできています。
タンパク質は、筋肉だけでなく、骨、肌、臓器、血液、ホルモンなどの材料、そして母乳の材料になっているのです。
タンパク質があれば良質な母乳は作れるの?
主な材料がタンパク質だからといって、タンパク質だけで母乳は作れません。
私たちの身体は、タンパク質を中心にその他の栄養素がいくつも組み合わさってできているので、良質な母乳は必須栄養素が揃うことで作られます。
栄養素が揃うとメラトニンがより多く作られる
栄養素が揃うと、メラトニンもたっぷり作られます。偏った食事ではなかなか必須栄養素を揃えることができませんので、多種多様な食材を食べることが、栄養バランスを整えるポイントです。
栄養たっぷりの母乳を作る食事のポイント
良質な母乳を作るために特に必要な栄養素は、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維です。さらに、乳酸菌も合わせて摂ると良いですので、ここからは母乳に必要な栄養素について詳しく解説します。
眠りと発育に必要なタンパク質
母乳やメラトニンの主な材料のタンパク質は、身体の材料にもなります。
ですので、食事でたっぷりとタンパク質を摂ることで、赤ちゃんの眠りだけでなく発育もより良好になります。
タンパク質を食事から摂るポイント
タンパク質は、主に肉、魚、卵など動物性の食品に多く含まれます。
ただ、肉や卵などは飽和脂肪酸も多く含みます。これは内臓や皮下脂肪の素になる脂質で、血液をドロドロにするため、摂り過ぎると血液や母乳の流れを悪くして乳腺炎の原因にもなりかねません。
ですので、肉や卵だけでなく、良質な脂質を含む魚や、女性ホルモンの働きをもつ大豆イソフラボンを含む大豆製品と組み合わせるなど、様々な食品から摂ることがポイントです。
タンパク質の代謝に必要なビタミン、ミネラル
タンパク質が、筋肉、皮膚、血液、ホルモンなどの材料になるには、口に入ってから、消化、吸収、代謝されなければなりません。
この過程で重要な役割を果たすのが、ビタミン、ミネラルです。
メラトニンを作るために特に必要なものは、「ビタミンB1・B3・B6・C、ナイアシン、葉酸、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム」です。
ビタミン、ミネラルを食事から摂るポイント
ビタミン、ミネラルは、野菜や果物、海藻類などに多く含まれます。食事では、量だけでなく種類の数を増やすことがポイントです。
また、レバー、豆類や大豆製品、魚介類は、ビタミン、ミネラルと合わせてタンパク質も豊富なのでオススメです。
メラトニンを作るために腸内環境を整える食物繊維、乳酸菌
メラトニンを作る過程で、セロトニンが先に作られます。セロトニンは腸で作られるため、腸内環境を整えることも大切。
そのために必要なものが、食物繊維と乳酸菌です。
食物繊維は、腸内の不要物を回収して排泄するお掃除役です。
乳酸菌は、腸の善玉菌の餌になります。善玉菌は、身体の中に入ってきた細菌やウイルスを撃退する、腸内に入ってきたものが必要なものかそうでないかを仕分けして必要な栄養素の吸収を促すといった、整備役なのです。
食物繊維、乳酸菌を食事から摂るポイント
食物繊維は、芋類、海藻類、雑穀類、こんにゃくなどに含まれます。
乳酸菌はヨーグルトの他、キムチ、漬物、味噌などの発酵食品にも含まれます。
ご飯のお供になる発酵食品、お米と一緒に炊くことができる芋類や雑穀類など、手軽に食事にプラスしていくことがポイントです。
夜のメラトニンの量を増やす食事のコツ
夜に分泌されるメラトニンの材料は、朝に食べたタンパク質です。
朝食は、タンパク質を中心に、ビタミンやミネラルなどを豊富に含んだ食事にすることが、夜のメラトニンを増やすコツです。
また、太陽光の刺激を受けることでさらに分泌量が増えるので、日中は日光浴もできると良いですね。
逆に眠りを妨げる食べ物、飲み物は?
いくら栄養バランスを整えても、眠りを妨げる成分を合わせて摂っていたら意味がないですよね。眠りを妨げるのは、主にカフェインと糖分です。
身近にあるカフェインを含むもの
覚醒作用のあるカフェインを含むものは、コーヒーや緑茶の他に、チョコレート、栄養ドリンク、エナジードリンクなどです。育児の疲れから摂りたくなる時もあると思いますが、赤ちゃんの眠りのためには控えることが望ましいです。
ただ、チョコレートが好きな方は食べないとストレスになることもありますので、我慢はし過ぎず日中に少量ずつ食べるようにし、夕方以降は食べないようにすると良いです。
糖分が母乳に与える影響
甘いものを食べると、血液中の血糖値が上がります。
血糖値を下げるためにインスリンが分泌されると、今度は血糖値を上げるためにアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは、交感神経を刺激して興奮状態にする作用があるため、睡眠前にアドレナリンが分泌されていると眠りが妨げられます。
甘いものを食べるときのポイント
甘いものを摂り過ぎていると、母乳の糖質も増えます。また、母乳だけでなく赤ちゃん用の果汁飲料にも糖質が含まれます。
糖質の多い母乳や果汁を飲む赤ちゃんは興奮状態になりやすく、夜は特に夜泣きの回数が増えることがあります。
ですので、日頃から甘いものは食べ過ぎないようにすることと、甘いものを食べる、果汁や砂糖を多く含むものを飲む時は、ママも赤ちゃんも夕方以降は控えることがポイントです。
子育てに忙しいママも手軽に栄養をプラスできるレシピ3選
良質な母乳を作れる、栄養たっぷりの簡単レシピを3つご紹介します。
レシピにプラスするだけで手軽に栄養アップできるおすすめアイテム
まずは、今回ご紹介する3つのレシピにも活用していて、いろいろな料理に加えるだけで美味しく栄養も摂れる常備におすすめのアイテム2点をご紹介します。
レモン果汁
レモン果汁に含まれるビタミンCやクエン酸は、美肌を保つ、免疫力を上げる、他の栄養素の吸収を補うなどの働きがあります。レモンだけでなく、すだち、ゆずなど柑橘系の果汁でもOKです。
蜂蜜またはメープルシロップ
ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富で、砂糖やみりんの代わりにもなります。蜂蜜を乳児に直接与えるのはNG(ボツリヌス菌が含まれるため)ですが、授乳中のママが蜂蜜を食べても、大人は消化器官が発達しているので、母乳を通して赤ちゃんに菌が行き届くことはありません。
タンパク質アップメニュー
刺身を簡単アレンジ!「刺身のレモン味噌だれ」
- お好みの刺身
(レモン味噌)
- 味噌…25g
- 黒すりごま…大さじ1
- レモン果汁…大さじ1
- 蜂蜜またはメープルシロップ…大さじ1
- ごま油…小さじ1
- 醤油…小さじ1
- わさび…お好みで
ビタミン、ミネラルアップメニュー
混ぜるだけで簡単!「しらすのイタリアンサラダ」
- ベビーリーフ…50g
- スプラウト…1パック
<しらすドレッシング>
-
- しらす…20g(ちりめんの場合は25g)
- 粉チーズ…大さじ1
- オリーブオイル…大さじ2
- レモン果汁(すだちやゆず果汁も可)…大さじ1
- 蜂蜜またはメープルシロップ…小さじ1
- 塩…小さじ1/2
- 胡椒…お好みで
食物繊維、乳酸菌アップメニュー
腸活に役立つ!「ナッツ入りアボカドヨーグルト」
- プレーンヨーグルト(豆乳ヨーグルト)…90g
- アボカド…1個(正味約90g)
- 素焼きナッツ(アーモンド、クルミ、カシューナッツなど)…15g
- 蜂蜜またはメープルシロップ…大さじ1
- レモン果汁…小さじ1
スムージーにアレンジも
蜂蜜またはメープルシロップを大さじ2、レモン果汁を大さじ1にして、牛乳または無調整豆乳を100ml加えてミキサーで撹拌すると「アボカドスムージー」として楽しむこともできます。スムージーがお好きな方はぜひお試しください。
まとめ
赤ちゃんの眠りは、母乳の栄養バランスがカギを握っています。
とはいえママは忙しいので、調理しなくても食べられる野菜、果物、大豆製品、発酵食品や、授乳中も安心して食べられる栄養補助食品を活用して、手軽に必要な栄養素を揃えていくと良いですね。