赤ちゃんのうつぶせ寝は危険!?対策のポイントを医師が解説!

我が子が寝返りをできるようになった!とその成長に喜んだのもつかの間、気がつくと寝るときに勝手にうつぶせに。

このまま寝かせていていいの?それとも起こしてでも仰向けに戻したほうがいい?戻してもまた気がつくと自分でひっくり返ってうつぶせに戻ってしまうし、うつぶせで寝るのが好きなのかな?と疑問に思うお父さん、お母さんもいますよね。

実は「1歳を超えるまではうつぶせ寝は避けましょう」というのが厚生労働省の推奨です。

それは何故なのか、うつぶせの危険性と対処方法を知っておきましょう。

 

赤ちゃん・新生児のうつぶせ寝はなぜ危険なの?

どうしてうつぶせ寝は、避けたほうがいいのでしょうか。それは主に以下のようなリスクがあるためです。

窒息

赤ちゃんや新生児は自分で一人で好きな方向に顔を向けたり、首を動かすことができません。上を向いている時に左右に首を動かしたり、家族の方を向いたりする動きは生後2ヶ月頃から出来ます。

また、首すわりが早い赤ちゃんは起きているとき、うつぶせの状態で首を持ち上げられる子もいるでしょう。

しかし、大人のように寝ている間に自由に首を動かせるほど体が発達している訳ではありません。

特に、仰向きからうつぶせになる寝返りは出来ても、うつぶせから仰向きになる寝返りがえりが出来ない赤ちゃんも珍しくないのです。

よって、お腹を下にして寝ている間に、掛け布団、敷布団、クッション、またはぬいぐるみ等によって呼吸が妨げられた場合、苦しくても自分で首を動かせずに窒息してしまうことがあります。

消費者庁の発表によると、2010年から2015年までの5年の間に160人の赤ちゃんが睡眠時の窒息で亡くなっており、最も多かった窒息の直接原因は、顔がマットレスに沈んで埋まってしまった(33件)、次に多かったのは掛け布団や毛布が首に巻きついた・顔の上にかぶさった(17件)、壁とベッドの間に顔が挟まれる(13件)と続きます。

乳幼児突然死症候群(SIDS)

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)という病気があります。これは、なんの問題もなく平和そうに眠っていた赤ちゃんが、突如死亡してしまうものです。

1歳に満たない赤ちゃんの死亡理由で第3位であるこの病気は、毎年100人以上の子供の命を奪っていますが、原因ははっきりと分かっていません。

原因はわかっていないものの、リスクファクターはいくつか分かっています。

うつぶせ寝はそのリスクファクターのうちの一つです。乳幼児突然死症候群は仰向けで寝ていた赤ちゃんにも起こり得るので、 うつぶせ寝が必ずしも悪い訳ではないのですが、亡くなっていた時にうつぶせだった赤ちゃんの方が仰向けだった赤ちゃんより多いと報告されています。

よって、この乳幼児突然死症候群のリスクを下げるためにも、うつぶせ寝は避けましょう。

また、「赤ちゃんの近くでタバコを吸わない」「できる限りお母さんの母乳で育てる」ということも乳幼児突然死のリスクを下げると報告されているので、合わせて覚えておきましょう。

 

うつぶせ寝の具体的な対策

冒頭で、厚生労働省は1歳まではうつぶせ寝を避けましょうと推奨していると述べました。

これは子供が自分で寝返り・寝返りがえりが自由にできるようになるまでの目安です。

しかし、中には仰向けに寝かせても気がつくと自分でうつぶせに寝返りをして寝てしまう子もいます。

家族の誰かが気がついて、また仰向けに戻してあげられるときはいいのですが、夜にみんなも寝ているときはそれが難しいかもしれません。

そんな時でも安全に赤ちゃんもご家族も安心して眠れるように、あらかじめ対策をしておきましょう。

どうしても自分でうつぶせになってしまう時の対処法

  • 顔が埋もれない固めのベッドにする:フカフカなベッドでは赤ちゃんの顔が埋もれて窒息してしまうことがあります。
  • ベッドや壁の間に隙間を作らない:赤ちゃんの顔がおさまってしまうような隙間は作らないようにしましょう。
  • クッションやぬいぐるみを周りに置かない:顔を埋められるようなものは近くに置かないようにしましょう。
  • 掛け布団は軽いものを使う:重い掛け布団だと、赤ちゃんの力で必要な時に布団を払えない可能性があります。
  • 特におくるみをするときは注意:周りのものが顔にかかっても手が不自由になっているので赤ちゃん自身でどうにも出来なくなってしまいます。おくるみをする時は赤ちゃんの周りのものに不必要なものは置かないようにしましょう。

一人で自由に寝返りができる子供はうつぶせでも大丈夫?

「うちの子は1歳も超えたし、自分でコロコロ寝返りもしているし、うつぶせで寝かせていても大丈夫だよね」と思う方がもう少し知っておくべきことがあります。

寝ている間にどうしてもうつぶせになってしまう子の中には、仰向けで寝るのは呼吸が苦しいため、自分から自然に途中で横向きやうつぶせに向きを変えて寝てしまう子供もいるのです。

この場合、うつぶせ寝が悪いのではなく、うつぶせ寝が別の病気のサインである可能性があるということです。

喉の奥のリンパ組織は、大人よりも子供の方が大きいのが正常です。

しかし、その正常以上にアデノイドの肥大をみる子供は少なくありません。このような子供は、仰向けで寝ていると、舌も喉の奥に下がることと合間って気道が狭くなり、呼吸が苦しくなってしまうため、呼吸が楽な位置を探してうつぶせになるのです。これが頻繁に続くと睡眠時無呼吸症候群になります。

中には、単純にうつぶせ寝の方が寝やすくその姿勢を好んでいるだけの子供も多くいるので、あまり過敏に心配しなくても大丈夫ですが、うつぶせで寝ていると無呼吸の状態になっている時に親が気付きにくいので、よく観察してあげることが大切です。

朝起きてきたばかりなのに疲れているように見える、日中の集中力がない、といった様子が見られる子どもは、無呼吸により睡眠の質が低下しているサインである可能性もあるので、要チェックです。

 

うつぶせ寝だけじゃない!睡眠時の他のリスクは?

窒息事故の原因になるのはうつぶせ寝だけではありません。睡眠時の窒息の原因として、家族の体の一部で圧迫される事も挙げられます。

添い寝は夜間の授乳も楽ですし、スキンシップの時間も増やすこと出来るので親にとっても安心で、日本では添い寝をしながら寝る家庭が多く見られます。

しかし、大人も子育てでクタクタになっていると一緒に深い眠りに落ちてしまうことは避けられないでしょう。

隣に寝ている大人が、身体で赤ちゃんの顔を覆ってしまって息が出来なくなる危険は多いにあるのです。

また、体ではなくても、大人がかけていた寝具が赤ちゃんの顔にかかってしまう事もあります。大人の寝具は赤ちゃんにとってかなりの重さであり、そう簡単に払いのける事が出来ません 。

さらには、大人のベッドから転落してしまうことによって窒息だけではなく、別の事故の可能性も上がります。

年上の兄弟・姉妹がいる場合、彼らの寝相は予測がつかないことが多いので、赤ちゃんに覆いかぶさってしまったりしないように注意が必要です。

よって、赤ちゃんと一緒に横たわっても、赤ちゃんが寝た事を確認した後に、赤ちゃんだけをベビーベッドに寝かせた方が安心です。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

うつぶせ寝の方がよく眠れている、起きた時に機嫌がいい、など、うつぶせ寝を好む赤ちゃんもいますが、基本的には危険性があるということを認識しておきましょう。

赤ちゃんもご両親も安心して眠りにつけるように、睡眠環境の見直しをして、できる限りの対策をあらかじめしておきましょう。

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