【医師解説】子供のウイルス対策!睡眠と食事で免疫システムを整えよう

世界中を脅かし、私たちの生活までも変えてしまったコロナウイルス(COVID-19)の影響は、まだ終わりが見えてきません。

赤ちゃんや子供はもちろん自分も感染しないようにと仕事をするにも買い物に行くにも不安な日々を過ごすお父さんお母さんも多いと思います。

質の良い睡眠は免疫力を向上させるということを知っていますか?

お家でできるウイルス対策として、免疫システムを整えるための睡眠の重要性を見ていきましょう。

 

免疫システムってそもそも何?

“免疫”っていう単語、よく聞くけど一体なんのこと?

簡単に言うと、体内に入ったウイルスや細菌などから自分の体を守るための自分の体に備わったシステムです。

すぐに風邪を引く人もいれば、いつも元気な人もいますね。病気にかかりにくい、風邪をひきにくい人は、その人自身の体が異物に対する抵抗力が高いのです。

コロナウイルスや、毎年やってくるインフルエンザなどのウイルスに対抗するためにも免疫システムを整えることは必須です。

赤ちゃん、子供にも免疫システムはあるの?

免疫力が低い、というと高齢者のイメージがありますね。しかし、赤ちゃんや子供も免疫力が低いグループです。

生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんからもらった抗体で守られています。しかしそれは生後6〜10ヶ月くらいで無くなってしまうため、その後は子供も自分で体を守らなければなりません。

赤ちゃんはお母さんからもらった抗体がなくなった時に、満足な免疫システムが整っているわけではなく、徐々に体に獲得して行く必要があります。赤ちゃんが感染症にかかりやすいのは、このシステムがまだ発達段階だからです。

すぐに熱を出してしまうのは、体の中に入って来た細菌やウイルスと体が戦っている証拠。これを繰り返すことで異物と戦うために必要な抗体を作ることを覚えていき、6歳くらいになるとだいぶ大人の免疫システムに近い状態に近付いてきます。

過去に発表された国立感染症研究所のデータでは、1000人あたりのインフルエンザの年齢別入院率は最も高いグループが、

1位:70歳以上
2位:60歳から69歳
3位:0〜4歳

でした。このデータからも小学校に上がる前くらいまでは特に注意が必要だと分かります。

 

子供の睡眠と免疫の関係

睡眠が十分に足りていないと、大人も子供も免疫力が低下することがわかっています。それはなぜでしょうか。

人間には、体の働きを調整する「ホルモン」と呼ばれる化学物質があります。様々なホルモンにより、私たちの体は体内の環境を調整されています。

睡眠中に多く分泌される“成長ホルモン(バソプレシン)”は特に子供にとっては、筋肉量を増やしたり、骨の成長を促すために大切なホルモンです。また、この成長ホルモンには免疫力を高めたり、細胞が傷ついたときに修復する作用もあるのです。

この成長ホルモンは質のいい眠りの時に多く分泌されます。よって、成長ホルモンの分泌を促し、感染症に対抗するためには、睡眠の時間と質が大切なのです。

成長ホルモンについては過去の記事でも解説されているので参照にしてください。

また過去の研究では、インフルエンザワクチンの接種の後、睡眠時間を十分に取らなかったグループは、十分に睡眠をとったグループよりも抗体反応が大幅に弱くなっていた(ワクチンの効果が弱かった)ということも分かっています。

これにより、睡眠が免疫システムを構築するために必要だということがわかります。

新生児の成長ホルモン

新生児に関しては、上記で述べた睡眠と成長ホルモンの関係が少し異なります。新生児は驚くほどのスピードで毎日育っていきますよね。

新生児の成長ホルモンは覚醒時と睡眠時で大きな差はありません。生後4ヶ月頃から睡眠中により多く成長ホルモンが放出するように偏り始め、4〜5歳頃になると夜寝ている時に集中して成長ホルモンが分泌されるようになってきます。

 

家庭で出来る赤ちゃんや子供の感染症対策

家庭でできる感染症対策には、睡眠以外に、食事にも鍵があります。丈夫な免疫システムを作るには

  • ビタミンA
  • ビタミンC
  • ビタミンE

の三つが大切です。A、C、Eを合わせて“エース”と覚えると忘れないですね。

以下に各ビタミンが多く含まれる食品を紹介します。子供が苦手な野菜もビタミンを含む大切な食品ですので、細かくしてカレーライスにいれる、ハンバーグの具に混ぜる、ニンジンなどはリンゴなど好きな果物と混ぜてジュースにするなど、工夫して食べさせてあげましょう。

ビタミンA

喉や鼻の粘膜の働きを強化して、異物の侵入を防ぐために役立ちます。

ビタミンAが多く含まれる食品…卵、チーズ、のり、緑黄色野菜(人参、ほうれん草など)

摂取のポイント:ビタミンAは油と一緒に調理すると体に吸収されやすくなります。

ビタミンC

ウイルスを攻撃するインターフェロンを作る材料になります。

ビタミンCが多く含まれる食品…果物(レモン、キウイ、いちごなど)、野菜(パプリカ、ブロッコリー、ピーマン、芋類など)

摂取のポイント:一度にたくさん食べても排泄されてしまう水溶性ビタミンなので毎日摂取できるようにしましょう。

ビタミンE

体が酸化することを防ぐ抗酸化作用があります。

ビタミンEが多く含まれる食品…かぼちゃ、アボカド、アーモンド、魚介類(魚卵、鯖、うなぎなど)

摂取のポイント:ビタミンCと一緒に摂取すると体に吸収されやすくなります。

 

まとめ

気になるコロナウイルスをはじめとする感染症対策のためにも睡眠をしっかり確保することは大切です。子供をしっかり寝かせることで初めて大人もゆっくり眠れます。

家族みんなで健康でいられるように、睡眠や食事のバランスを考え、まずは各家庭で出来ることから少しずつ意識していきましょう。

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