【医師解説】赤ちゃんにネントレは必要?ネントレの種類と方法もご紹介

ネントレと呼ばれるねんねトレーニング。

「やってみたいけれど本当に必要?」「自分のためにも赤ちゃんのためにも、いいって聞くけど本当?」

と興味はあるけどなかなか始められないお父さん、お母さん。

ネントレの種類やネントレをする事で得られるいい点を知り家族の生活リズムの中に取り組む参考にしましょう。

 

ネントレは必要か?

ネントレは、赤ちゃんが自分で眠りにつく力をつけるための練習です。しかし、そもそもネントレって必要なのでしょうか?

赤ちゃんも一人一人性格が違うため、中には眠くなったら勝手におとなしく眠りにつく子もいます。ネントレ?そんなの全く必要なかった、という家庭もあります。また、成長に伴って自分で眠れるようになるため、それまで待つという家庭も多いでしょう。

しかし、抱っこでの寝かしつけや、添い乳をしないとなかなか寝ない赤ちゃんを持つお父さんお母さんは、寝かしつけること自体が大変になってしまい、負担に感じてしまうこともあります。そのような場合、自分にとって何が辛いのかを認識するところから始めましょう。

以下のように自分で紙に書き出してみると頭が整理されてスッキリするのでオススメです。

 <自分が辛いと感じていること>

  • 眠るまで添い寝をする必要があるため、時間が取られる
  • 抱っこをし続けることで腰や腕への負担
  • 夜中に起きて泣くたびに授乳をしなければならない

人それぞれ違った理由があると思います。改めて紙に書き出すことで、自分では気付いていなかった自分の本音が見えてくるかもしれません。それによりネントレの必要性が見えてきます。

また、赤ちゃんが自分で眠りにつく力がつくと、睡眠中に途中で目をさましても、再度眠りにつくことが出来るまでの時間が短くなるので、トータルの睡眠時間が増加します。

このようなことにより、ネントレが成功すると赤ちゃんにとっても成長に必要な睡眠時間が増え、ご両親も負担が減り、お互いの時間を有意義に使えるでしょう。お互いにとって必要だと思ったら、まずは試してみませんか?

ネントレをすることによる赤ちゃんへの悪影響は?

幼い我が子への最初のしつけのようなネントレ、赤ちゃん自身に悪影響がないか心配になりますね。過去の研究によると次のことがわかっています。

  • 1歳の時点で睡眠に問題があった赤ちゃんは、ネントレをしなかった群よりネントレをした群の方が低い
  • 赤ちゃんにトレーニングを行なった群は母親の産後うつの傾向が低い
  • 特に論点に挙げられる泣かせるネントレについては、一生涯の障害になると主張する専門家のグループと短時間泣かせることは問題ないと主張するグループがある。

よって、赤ちゃんへの悪影響はあるのか?という問いの答えは、“ない”とは言い切れませんが、ある可能性を示唆した報告は少ないというものです。

 

ネントレにも種類がある

ネントレにはいくつか種類があります。呼び方も様々ですが、ここでは泣かせるネントレ、泣かせないネントレ、またその中間のネントレに分けて紹介します。

ネントレはダイエットと同じようなものです。赤ちゃんやご両親によって向き不向きがあり、効果も異なります。

さらには、赤ちゃんにはそれぞれに適切なトレーニング開始時期もあります。

一つの方法を試してダメだったから失敗、ではなく過去に効果が見られなかった家庭も時期を変えて同じ方法を試すのもいいですし、別の方法をチャレンジするのもいいでしょう。

泣かせるネントレ

日本では泣かせるネントレと呼ばれますが、発症である欧米ではCry it out(クライイットアウト)と呼ばれる方法です。1895年に発行された本で紹介されたのが始まりとされています。このネントレの仕方についてはこちらの記事で紹介されています。

この記事では、泣かせるネントレがサイレントベビーを作ってしまうことの危険性を示唆しています。上記で述べたように、この泣かせるネントレについては専門家でも賛否が分かれます。

泣かせるネントレ賛成グループの意見

  • 泣かせるネントレを行なった群において、行わなかった群よりもストレスホルモンであるコルチゾールが低かった。
  • 他の方法よりもトレーニング期間が短くて済む。
  • この方法を行なったせいで社会的スキルや感情に問題が出る赤ちゃんはほとんど報告されていない(しかしまだ議論の余地はある)

泣かせないネントレ

泣かせるネントレは、上記のような危険性が否定しきれないこと、また、泣いている赤ちゃんを横でみることが親にとっては辛いものであることから、泣かせる方法がいやだというご両親も多く存在します。

また、お父さん、お母さんの両方で子育てをしている場合は両方の合意がないと成り立たない方法です。

そのような場合は、泣かせるネントレよりも穏やかなトレーニングである泣かせないネントレを実践してみましょう。

泣かせないネントレは欧米ではNo tears method(ノーティアーズメソッド)と呼ばれています。以下に手順を示します。

泣かせないネントレ
ステップ1:赤ちゃんを眠りに誘導する行動をとる(抱き上げる、添い乳でも良い)。
ステップ2:赤ちゃんがウトウトしたら眠りにつく前にベッドへ横たわらせる。これにより抱っこ、授乳なしで眠りにつく体験をさせる。
ステップ3:赤ちゃんが泣いたら、放置はせずに、眠れない原因だけを取り除く(抱っこや授乳はしない)。

この方法のポイントは赤ちゃんがしっかりとした眠りにつく前にベッドに一人で横たわらせて寝かせることです。これにより一人で眠るという事を体験を通じて覚えさせるのです。

泣かせるネントレと泣かせないネントレの中間ネントレ

もう一つの方法は、上記2つの間に位置するネントレです。欧米ではFade it out(フェードイットアウト)法と呼ばれます。

この方法には二つのやり方があります。

Camping out (キャンピングアウト)法

赤ちゃんの寝息が聞こえるまでベッドの横に椅子を用意し、座ります。もし赤ちゃんが眠れずにぐずり始めたら、シーっと声をかけたり、体を優しくトントン叩いてあげましょう。数日おきに椅子を遠ざけていき、2週間で部屋を完全に出て行くようにします。

Timed check-ins(タイムドチェックイン)法

赤ちゃんをベッドに寝かせ、部屋を出ます。短いインターバル(5分ほど)で部屋に戻り、声をかけたり体をさすってあげましょう(専門家によっては声かけだけ行うほうが効果的としています)。

声かけは「寝る時間だよ」とタイミングを伝える言葉や「大好きだよ」というような安心するような言葉をかけましょう。これを赤ちゃんが寝るまで繰り返します。泣かせるネントレとの違いは、短い時間ですが赤ちゃんに姿を見せていい点です。

 

ネントレ中の注意点

  1. ネントレはもともとヨーロッパやアメリカで発症したトレーニング方法です。キスやハグを多くする彼らの生活スタイルは家族や友人間でのコミュニケーションが日本人よりも多いのが一般的です。ネントレ中は赤ちゃんの要求に応えられない部分もあるため、赤ちゃんのことが大好きだよ、と伝わるように、起きている間のコミュニケーションをいつもより多く取ってあげましょう。
  2. 自分と赤ちゃんにとって、一つの方法が向いていないと思ったら、数あるトレーニングのうちの別の方法を試してみましょう。お互いにトレーニングに慣れることも必要ですが、ストレスになりすぎてはいけません。
  3. トレーニングを始めて何か不安なことやわからないことがあったら、かかりつけの医師に相談しましょう。先輩パパママへの相談も役に立ちますが、元々日本で発症したトレーニングではないため、否定的な意見が目立つこともあります。

 

まとめ

赤ちゃんが上手にねんねをするようになると、お父さんお母さんの自由な時間も増えます。また、赤ちゃんにとっても良質な睡眠を確保する事に役立つため、悩んでいるご両親はネントレの実施を考えてみてはいかがでしょうか。

泣かせるネントレを選択したとして、いつまでも泣かせているなんて可哀想、と別の家族に邪魔をされてはトレーニングにならないため、あらかじめ家庭内で相談し、互いに納得する方法を決めてからトレーニングに取り掛かりましょう。

 

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