突然「ぎゃーーーー!」と始まる夜泣き。
どうして泣きやまないの?お隣さんに聞こえたらどうしよう・・・と、子育て中にストレスを感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
今回は夜泣きなど子育て中にイライラするとき、どう対処したらいいのか?研究結果などの報告も参考にしながら見ていきたいと思います。
夜泣きは成長の証?!
親御さんを困らせる夜泣き。でも、実は大好きなお子さまの「成長の証」とも言えるのです。どういうことでしょうか?見ていきましょう。
夜泣きの原因って、何?
夜泣きの原因には、様々なものが考えられます。
蒸し暑くて不快。抱っこしてほしい。
体がむずむずしてかゆい。
深い眠りに入る感覚が怖くて、泣いてしまうこともあるのでは?という考えもあります。
一方で、睡眠の専門家が考えても「どうしても原因がわからない」夜泣きもありますし、原因が一つでないこと、また原因が避けられないこともあります。
発達や成長によって、夜泣きが起こることもある
とくに「お子さんの発達や成長」も、夜泣きの原因の一つになると言われています。
- 寝返りができるようになった
- 歩けるようになった
- 人見知りをするようになった
その他にも例はたくさんありますが、お子さんは目まぐるしく成長して、周りの世界から刺激を受けています。そうした刺激はとても大切ですが、夜中にその刺激を思い出すなどして、夜泣きにつながることがあります。
また夜泣きのほかにも、成長とともに以下のような行動が見られるようになることもあります。
- 寝つきが悪く、寝室に入っても1時間くらいたたないと眠りに入らない
- 寝ようとすると、かんしゃくを起こすようになる
- 寝るときにいやがって「お茶を飲んでから寝る」など、あの手この手で交渉してくるようになる
- 昼寝をしなくなる(したがらなくなる)
- 寝る時に特定のおもちゃやガーゼなどを求めるようになる
喜ばしいはずの成長や発達なのに、それが夜泣きや睡眠トラブルを引き起こしてしまう。なんだかもどかしいですよね。
でも「夜泣きや寝ぐずりは、子どもの成長の証でもある。」というとらえ方は、今回のテーマでとても大事になってきます。
親のイライラは、子どもに伝わるの?
夜中にギャンギャン泣かれると、不安になったりイライラしたりするものですよね。
「ひょっとして私のイライラ、子どもに伝わってるかも?悪影響だよね?」
「私がイライラしてると、余計に子どもが寝ない気がする・・・。」
こんな思いをした親御さんも、少なくないのではないでしょうか?
実際に小さいお子さんなりに、親御さんのストレスを感じ取っているのでは?という研究の報告があります。
小さな子どもでも、イライラを感じ取っているかも(研究報告)
・まだ言葉のわからない生後6ヶ月ころまでの赤ちゃんでも、親御さんの体の動きやジェスチャーから、喜んでいるのか・怒っているのかを判断できている可能性がある。
(参考:Child Dev. Mar-Apr 2014;85(2):675-84.)
・親御さんが無反応・無表情だと、お子さんが何らかのストレスを感じている可能性がある
(参考:Infant Behav Dev. 36(3):344-8.)
・1歳前後のお子さんが、10分間のストレスを感じたお母さんと接すると、(お母さんがストレスを感じていないときと比べて)心拍数の変化が大きい、つまりストレスを感じている可能性がある
(参考:Psychol Sci. 25(4):934-42.)
どうでしょうか?小さなお子さんなりに、親御さんの不安やイライラを一生懸命、読み取っていそうですよね。
実際に親のイライラが、子どもの睡眠をさまたげてしまうかも
ストレスやイライラを感じると、お子さんの声や動きに反応してあげる・かまってあげるのも面倒だなぁ、と思ってしまうこともありますよね。
このように親御さんが、お子さんに適切にかまってあげられない状態だと、お子さん(生後1ヶ月~2歳)の睡眠が断続的になるなど、睡眠に影響があるのではないかという報告もあります。
(参考:J Fam Psychol. 24(3):307-15.)
また、寝かしつけのタイミングだけではなく、たとえば
- 親御さんが復職のタイミングで心身ともに余裕がない
- パパが単身赴任中で、ママに明らかに育児負担がかかっている
- 新たな兄弟を妊娠した・兄弟が誕生した
など、科学的なデータは出しづらい部分ではあるのですが、こうした家族全体の大きな変化やストレスも、子どもの睡眠に影響を与えるだろうという考え方もあります。
「うーん、子どもにイライラは伝わるみたいだし、睡眠にも影響するのなら、なるべくイライラしたくないなぁ・・・でも夜泣きされたら、やっぱりイライラしちゃう!」そんな時の対策を、一緒に見てみましょう。
対策1:「イライラしている」ことを認識する
「え?」と思うかもしれませんが、実はとっても大事なことです。
自分の子どもが泣き止まないときに、イライラする。それは自分の子どもだから、一生懸命に育てているからこそ生まれる感情です。「イライラしない」のが大事ではありません。イライラしても良いのです。「今、私、イライラしてるな」とそのまま認識することが大事です。
「負のループ」に入るのを防ぐ
イライラしていることを、認識する。
これはイライラをきっかけにして、思考回路が「負のループ」に入ってしまうのを防ぐために、大事な手順なのです。
「人間は一度ストレスを感じると、脳がより悪い方向・悪い出来事に集中しやすくなって、さらに悪循環になる」傾向があることは、研究でも報告されています。
(参考:Psychol Psychother 87(2):155-66.)(参考:Biol Psychol. 102:98-107.)
「お隣さんから苦情がきたらどうしよう?!」
「あぁ、私が今日、新しい児童館に連れて行って、しかもそこでケガしちゃったのが良くなかったのかな……」
静かな夜に、ただ鳴り響くお子さんの泣き声を聞いていると、どんどんマイナス思考のループに入っていく。
そんな経験のある親御さんもいらっしゃると思います。
ただ「イライラしてる」と声にだせばOK
「自分は今イライラしている。その認識にとどめて、そこから負のループに入らないようにする。」そのために夜泣きで泣き止まない赤ちゃんを抱っこして歩き回りながら「はー、私今イライラしてるなー」と、ただ言葉にだすのも立派な一つの方法です。
全く別のことを考えるのもOK
マイナス思考をしない!と思うと、余計にマイナスのことを考えてしまいがちなので、「夜泣きしたら、あやしているときは、全然違うことを考えよう」と決めておくのも良いですね。
「よし、今日夜泣きしたら、明日コンビニで何のスイーツ買おうか考えよう、シュークリームにしようか、あーでもしょっぱいのもいいな、ポテチにしよっかな……」とか「よし、あの曲をエンドレスリピートで脳内再生しよう!」とか。
こういう思考のトレーニングも、立派な対策です。
対策2:「夜泣きゼロ!」を目標にしない
冒頭でも触れましたが「夜泣きは成長の証」である以上、「夜泣きをゼロ」にすることは不可能です。だから「夜泣きゼロ!」は目標にしてはいけないのです。
ついつい期待してしまうもの
別に「絶対に夜泣きさせないぞ!」と毎日思っている親御さんはいないと思いますが、知らぬうちに、つい期待してしまっていることはよくあります。
今日はたくさん外で遊んだし、ご機嫌な時間も多かったし、ご飯もよく食べてくれたし…となれば、つい「今日はぐっすり寝てくれそうだな」と思いますよね。
でも予想に反して「え?なんで?」ってタイミングで夜に起きたり、全然寝つかなかったりして、困り果てた経験がある親御さんも少なくないと思います。
「意識して『期待しない』」という夜泣き対策
何ヶ月になっても、何歳になっても、夜泣きがゼロになると言い切れる時期はきません。
「今日はいい感じで1日過ごせたけど、また夜泣きするかもしれないな。しょうがないよね、夜泣きは成長の証だし。とりあえず子どもと一緒に寝落ちして、ちょっとでも睡眠時間を確保しとこう」など、意識して『期待しない』ことも大事な夜泣き対策です。
対策3:睡眠や夜泣きについて、とにかく「知る・学ぶ」
何かにストレスを感じているとき、それについて「知る・学ぶ」ことは、ストレスを解決する糸口になります。
「何かストレスを感じた出来事があったとき、それを別の・新たな角度から見ることが出来ると、ストレスをマネジメントすることができる」というのは研究でも示されています。
(参考:Psychological Science 24: 2505-2514.)
YOKUNELでは、子供の睡眠に関する情報をさまざまな切り口でご紹介しているので、ぜひご参考にされてみてください。
「夜泣き」を新しい視点からとらえるには
「夜泣きについて知る・学ぶ」ことは、今までとは違う新しい視点で、夜泣きをとらえるチャンスになります。でも忙しい子育ての中で、すぐに役立つ・正しい情報を見つけること、またそれを日常生活で実際に活用していくことは、なかなか難しいですよね。
そんな時はぜひ、睡眠コンサルタントに相談してみるというのも良いでしょう。「IPHI妊婦と子どもの睡眠コンサルタント」はアメリカの民間資格ですが、なるべく科学的な情報をもとに・それぞれのご家庭にあった睡眠を、親御さんと一緒に考えていくプロです。
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まとめ
「イライラしないのが大事なのではなく、イライラしていることを認識するのが大切」
「夜泣きは成長の証。だから夜泣きゼロ!を目標にしない」
「今までと違う視点で夜泣きをとらえるために、ぜひ睡眠コンサルタントにもご相談を」
いかがでしょうか?夜泣きだけではなく、子育て中のイライラにも通用する大事なポイントが、皆さんに伝われば幸いです。