これって睡眠退行?気になる疑問に医師がお答えします!

「眠くなったらおっぱいを飲ませれば寝たのに、なかなか寝なくなった」

「今までは抱っこをしたらすぐに泣き止んでいたのになかなか泣き止まない」

「添い寝も効果なしでぐずぐず、オムツも濡れていないし、赤ちゃんの急な変化にこれってなぜ?」

「睡眠退行って聞いたことあるけど、それってどうしたらいいの?」

と不安に思うお父さんお母さんのその疑問にQ&A形式でお答えしていきます。

Q:赤ちゃんが急に眠らなくなった!なぜ?

今までは放っておいても夜にぐっすり眠っていたうちの子、最近急に夜泣きをするようになりました。泣き出すとなかなか寝付いて来れないし、お昼寝も短くなったし…これってどうして?

A:それは一時的な睡眠退行の時期に入ったのかもしれません。

赤ちゃんは毎日驚くようなスピードで成長していきます。目に見える身体の発育はもちろんですが、脳の発達も著しいものです。その身体や脳の発達に合わせて赤ちゃんの睡眠もどんどん変化していきます。しっかり睡眠をとっていた赤ちゃんが 、2〜6週間一時的に睡眠が不安定になり、夜の寝つきが悪くなる、寝たと思ったのに覚醒する、夜泣きが酷くなり、日中の昼寝がうまくいかなくなる、などの時期を迎える睡眠退行かもしれません。

 

Q:これって睡眠退行なのかな?わからない!

赤ちゃんの睡眠が不安定になってはいるけどこれが噂の睡眠退行?睡眠退行だと判断出来るような特徴はありますか?

A:明らかな理由が見当たらないのに急に睡眠が不安定になったときは、睡眠退行の可能性が

以下の睡眠退行の特徴のチェックリストをみてください。これらに当てはまる場合は、睡眠退行の可能性が高いです。

<睡眠退行チェックリスト>

  • 急に寝つきが悪くなった、何度も夜中に目を覚ますようになる
  • 急に夜泣きをするようになる
  • 急に昼寝の時間が短くなった、昼寝を嫌がるようになる
  • 急に日中ぐずりやすくなる
  • 4ヶ月頃に初めて経験する赤ちゃんが多い
  • 生後4ヶ月から2歳までの時期に数回起こることがある
  • 個人差が大きく、数週間から1ヶ月以上続く
  • 時期を過ぎるとまた元の睡眠リズムに戻る
  • 食欲に変化があることもある

睡眠退行が見られやすい時期

◯4ヶ月、8ヶ月、11ヶ月、18ヶ月、2歳

一般的には4ヶ月頃に初めての兆候があり、その後、8ヶ月、11ヶ月、18ヶ月、2歳にみられやすいと言われています。

全ての時期に必ずしも起こるわけではなく、睡眠退行を一度も経験しない赤ちゃんもいれば、一回で終わる赤ちゃん、または何度もこの兆候をみる赤ちゃんもいます。最も多くの赤ちゃんが経験するのは4ヶ月の頃だと言われています。

 

Q:睡眠退行だとわかったらどうすればいい?

上の特徴によく当てはまるかも。睡眠退行だと思うけど、一体どうすればいいのでしょう?

A:睡眠退行は一時的なものなので、時期が来ればまた眠ってくれるようになります。慌てて対策を考えなくても大丈夫です。

睡眠退行は個人差が大きく、数週間で終わることもあれば1ヶ月以上続く場合もありますが、気がつくとまたしっかり眠ってくれるように戻っていた、ということがほとんどですのであまり過敏に不安にならなくても大丈夫です。まずは、病気や異常が起こっているわけではないということを理解してください。そして、赤ちゃんがしっかり成長している証だ、と思い暖かく見守ってあげましょう。

 

Q: 見守る以外に睡眠退行の対処法は?

4ヶ月の赤ちゃんの睡眠退行が始まったみたいです。新生児期を超えてからは長時間寝てくれていたから、こちらの身体が追いつきません。一時的なものと分かっても明日も仕事だし何か良い対処法はないでしょうか?

A:赤ちゃんの不快感、不安を取り除いてあげましょう

生後4ヶ月には、脳の中の感情を司る部分がどんどん発達して来るため、こうして欲しい、ああして欲しいと言った自己の欲求や、不安な気持ちは急激に増してきます。しかしこの頃の赤ちゃんは、自分の感情・情緒をコントロールするシステムが備わっていません。そこで、その感情をそのまま表に出してしまうので、夜泣きやパニックを起こして自分でできないコントロールをお父さんやお母さんに求めるのです。これが、この時期の睡眠退行の原因です。

<POINT>

  1. 赤ちゃんにとって、心地よい室温、湿度、着衣、周囲の音、光などと言った快適な睡眠環境を整えてあげ、少しでも不快感を減らしてあげる
  2. 眠くなってきたな、と思ったら赤ちゃんの不安を取り除くためにスキンシップを増やしてあげる

眠らないからといって寝かさないようにする、お昼寝の時間を変える、というようなことはせずに出来るだけ生活リズムを崩さないようにしましょう。

その他の月齢の睡眠退行の原因と対処法

7〜9か月

周囲への関心も増しもっと動きたい時期。思いっきり遊ばせましょう。

7ヶ月を超えたあたりから、睡眠退行を経験する赤ちゃんがいます。この時期には赤ちゃんの運動能力も上がり、行動範囲がどんどん増えてきます。それによって周囲への関心も増し、もっと動きたいという気持ちが増えてきます。そして、身体の中でのお昼寝のタイミングもずれ、お昼寝の回数も変わってきます。これが眠りの不安定さに影響を及ぼし睡眠退行となる場合が多いのがこの時期です。

対処法としては日中にやりたい事を飽きるまでやらせる、また夜中に起きてしまっても自力で眠りに戻ることができるように練習(ネントレ)しておくといいでしょう。ネントレに関してはこちらの記事を参考にしてください。

10〜18か月(1歳半)頃の原因と対処 

奥歯が生えてきてムズムズ、もっと自分で色々したい時期。生活リズムをしっかり教えましょう。

個人差はありますが、この時期には口の中に4本の犬歯と4本の奥歯が生えてきます。歯茎を突き破って、硬い歯が生えて来るムズムズ感が不快感となって睡眠を邪魔することがあります。

また、お父さんやお母さんと離れることへの不安を感じる不安分離は10〜18ヶ月で強くなってきます。さらに、自分で出来ることがどんどん増えて来るため、自分で出来ることは自分でしたい、眠る時間も自分で決めたいという主張が出てきます。これらの複合的な要因が睡眠退行を引き起こします。

この時期の睡眠退行が最も大変だと言われています。その理由は、対処しようとすると、独立性を示してきている子どもに対して躾の要素が出て来るためです。静かな部屋で絵本を読む、お風呂に入る、などのベットタイムルーティーンを作って、それを崩さないように生活して、寝る時間が来たという事をリズムで覚えさせましょう。また、子どもに今は寝る時間なんだよという事をお話しして理解させてあげましょう。

2歳頃の原因と対処

不安なことが増えてくる時期。気持ちを組んだ対応してあげましょう。

この時期には、口の中に上と下の奥歯が合わせて4本生えてきます。また、不安分離も強くなる事や、年下の兄弟や姉妹が生まれてきた場合、お父さんやお母さんの自分への注意を引きたがるようになることが睡眠退行の原因であることがあります。

特にこの時期の不安分離に対しては、子どもの訴えへの理解を示してあげましょう。

具体的には「あなたの話を聞いているよ(わかっているよ)」「一緒にいて欲しいんだよね、部屋の中の影が怖いんだよね、一人で眠ることが怖いんだよね」等と話しかけて子どもの不安をわかってあげている事を伝え、その不安に寄り添ってあげます。声かけをして子どもの不安を和らげてあげましょう。またお父さんやお母さんの匂いのする洋服と一緒に寝かせたり、お父さんやお母さんの代わりになる人形を作って、それと一緒に寝かせるのも不安を軽減させる対策の1つです。

 

まとめ

急な変化に不安になることもある睡眠退行ですが、原因がわかり見通しがたっていると、それだけでご両親のストレスも減ると思います。

この時期を迎えたことを成長の証として喜びましょう。

また途中で述べたように、個人差が大きいものなので、睡眠退行の兆候を見ないからと言って周りの同じ月齢の赤ちゃんと比較して悩む必要もないということも覚えておいてください。

 

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