「赤ちゃんが寝てくれない」
「夜泣きの解決策は?」
「睡眠不足でつらい」
など、赤ちゃんと過ごす多くの家庭が睡眠に問題を抱えています。眠気を感じた赤ちゃんは不快感で泣きます。しかし、まだ具体的な解決手段がありません。
そこで、登場するのがネントレです!大人の働きかけで、赤ちゃんの睡眠は安定します。
元保育園勤務、そして2児の母の目線から両親で取り組めるネントレを紹介します。
ネントレとは、ねんねトレーニングの略!
赤ちゃんが大人の力に頼らず、自分の力で眠れるようにするトレーニングのことです。眠るべき時間や入眠のコツを赤ちゃん自身に掴んでもらうことで、眠れるようになります。
正しい睡眠は健康な生活の基礎です。赤ちゃんの時期から習慣づけましょう!
ネントレはいつからはじめる?
体内時計の整い始める2ヶ月から始めましょう。2か月頃から授乳間隔は4~5時間に伸びます。
空腹のタイミングが開くことで、この頃の睡眠は「朝寝」「昼寝」「夕寝」「夜間睡眠」に分けられます。睡眠のリズムが作りやすくなるのです。
もちろん、3か月を過ぎても、ネントレのスタートに遅すぎることはありません。
今日から始めるネントレ のやり方!
理想の睡眠リズムと現在の睡眠リズムを比べよう!
大切なのは現在の睡眠と理想の睡眠の差を把握することです。まず、理想の生活リズムを書き出しましょう!
項目は
- 起床時間(朝寝、昼寝、夕寝、夜間睡眠)
- 入眠時間(朝寝、昼寝、夕寝、夜間睡眠)
- 授乳間隔
- お風呂の時間
の4つです。
おすすめは起床を7時、就寝を19時にすることです。その間の12時間に「朝寝」「昼寝」「夕寝」の時間を入れましょう。昼間の睡眠は月齢が進むにつれて、夕寝、朝寝、昼寝の順でなくなります。
そして、理想のリズムを意識しながら、実際の赤ちゃんの睡眠リズムを1週間記録しましょう。睡眠時間や授乳時間などを記録できるアプリの活用がおすすめです。
理想的な睡眠リズムとのずれを正すことで、毎日同じ生活、睡眠リズムを意識できます。
赤ちゃんが寝る4つの基本『あ・か・ね・る』
4つの方法をネントレの根っことして伝えます。「赤ちゃんが寝る方法」をそれぞれの頭文字から、『あ・か・ね・る』と覚えましょう!
『あ』 朝夜を意識した生活リズムを作る
起床時間と就寝時間をベースにして、毎日同じ生活のリズムで過ごしましょう。
朝起きたらまず、部屋に太陽光を取り入れます。これによって、体に活動スイッチを入れます。日中は公園に出かけたり、ベビーマッサージで代謝を上げたり、活動的に過ごしましょう。
お昼寝は11~14時の間に済ませましょう。子どもが眠りたがらない時でも、部屋の明かりを落としたり、オルゴール音楽をかけたり、休める環境作りをしましょう。お昼寝が15時以降に伸びると、夜に寝ないので、起こしましょう。
お風呂は夜間睡眠への導入として効果があります。湯船で上げた体温をゆっくりと冷ましていく過程で、人は眠気を感じます。夜はしっかりと暗くした部屋で眠りにつきましょう。日中を賑やかに、夜を静かに区別する意識が大切です。
休日は特に起床時間が遅くなりがちです。2〜3時間のずれが2日続くことで、高校生でも45分もの体内時計の乱れが出ると言われています。
『か』 環境を整える
良質の睡眠のために、眠りに集中できる環境作りは欠かせません。寝室は寝るだけの場所として、玩具などは置きません。視覚から入る余計な情報を減らすために、部屋は真っ暗にしましょう。
赤ちゃんの目の仕組みとして、早くから家族を認知するために「顔のような形」を捉えやすくなっています。天井の模様や布団の皺に意識を割かない工夫になります。
大人の過ごしやすい室温を、赤ちゃんも心地よく感じます。発汗の具合によって、ベストやスリーパーで調節しましょう。
『ね』 寝かしつけ方法を決める
毎日の寝かしつけは、おうちの方の負担の少ない方法を選びましょう。添い寝や背中ぽんぽんは、夜中に起きた子どもに楽に対応できます。子どもの眠りを妨げないためにも、過度に接触のしない方法をとりましょう。
毎日の寝かしつけ方法として、立ち抱っこはおすすめしません。腰に負担がかかり、体力を消耗します。おうちの方の体も、子どもと同じように大切にしてください。
『る』 ルーティーンを組む。
ルーティーンは、一流アスリートが最良の結果を生むための方法として知名度が上がり、メジャーな言葉になりました。入眠への集中は眠りの前の決まった習慣で促されます。
絵本や子守歌は簡単にできるルーティーンです。「大好きだよ!」「今日もよく頑張ったね」なと肯定的な言葉がけも、効果的です。本人にとって大変なことがあった日でも「今日も僕(私)がんばったんだ!」と安心感に包まれて眠ることができます。
ごはん→お風呂→授乳→絵本などのルーティーン→消灯のように、生活の流れの中に組み込みましょう。繰り返すうちに、子どもは自発的にねんねの準備をしてくれるようになります
失敗させない!ネントレのポイント
ネントレの方法を固定する!
ネントレの肝は眠りのリズムの習慣化です。言語能力が未熟な赤ちゃんには、体感を通してゆっくり覚えてもらう必要があります。一度決めた寝かしつけ方法やリズムは、最低1週間繰り返しましょう。
途中で起きたら、まず様子を見よう
寝ていた赤ちゃんが泣き出したとしても、すぐに抱き上げてはいけません。なぜなら、赤ちゃんは寝ながら泣いていることがあるからです。そこに外的刺激が加わると、すっかり目が覚めてしまいます。
まず、様子を見ましょう。また、働きかけないことで、再び自分の力で眠りに落ちてくれることがあります。1分ほど泣き止まなかったり、目がぱっちりと開いてしまった時は、また寝かしつけてあげてください。
新生児突然死症候群を防ぐ
新生児突然死症候群は2ヶ月〜6ヶ月に多く起こると言われています。原因のひとつに、寝返りのできない赤ちゃんが、何かの拍子にうつ伏せになって起こる呼吸困難が挙げられます。
また、うつぶせ寝も危険です。夜間でもすぐに様子を見られるよう、大人の側に安全な寝床を確保しましょう。
ネントレのメリットは?
赤ちゃんの睡眠リズムを整える!
赤ちゃんの体内時計は発達段階です。そのため、昼夜の区別がつかず、まばらな眠りです。ネントレを行うことで、必要な時間に長く眠れるようになります。
体内時計は生後一ヶ月に、やっと機能し始めます。正しい眠りのリズムを教えてくれる大人のサポートがあれば、3〜4ヶ月頃に昼夜の区別がつき、6ヶ月を目安に睡眠リズムが整い始めます。
健やかな子どもの成長を支える
睡眠衛生を子どもの頃から習慣化することで、心と体を健康にし、子どもの将来を支えます。ネントレには、生活習慣病の原因である睡眠負債の減少が期待できます。
子どもの能力と睡眠の関係はデータで示されています。
文部科学省の「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」では自己肯定感を、広島県教育委員会が行った「『基礎・基本』定着状況調査報告書」では学力を調べました。
どちらの結果でも、充分な睡眠をとった学生が高い値を示しています。
デメリット!?正しい睡眠を作るには時間がかかる?
ネントレを始めたすぐその日に、子どもは寝るわけではありません。寝かしつけのやり方が子どもに合わなければ、また1からやり直しです。
離乳食や予防接種、忙しい育児生活に加えて負担がかかります。大人の根気強さと継続力が求められるのです。
しかし、睡眠リズムが根付くと、大人はとても楽になります。
夜に自分の時間を確保する楽しみが増え、安眠にも繋がります。また、子どもにとってのメリットは大きく、睡眠負債を抱えるデメリットから子どもを救います。
ネントレ体験談
眠らない赤ちゃんの子育てに悩み、たくさんの家庭がネントレに取り組んできました。その体験談の一部を抜粋します。
多く見られた意見は「寝かしつけ時間の短縮になった」「子ども自身が夜、自分で寝ようとする」などです。
「一人目でネントレをしておくと、二人目は必要なかった」「親自身の時間が取れるようになった」と家族へも良い影響がありました。
0~1歳前半は徐々に眠りのリズムを掴み、特に2歳からの寝かしつけがぐんと楽になる傾向がありました。
まとめ
ネントレとは子どもの睡眠の基本を作るトレーニングです。大人が正しい睡眠リズムを理解し、子どもの入眠の導き手となることで、家族の安眠を実現します。
子ども自身のタイミングや体調で上手く寝ない日もあります。ネントレの目的の一つは、おうちの人の負担を減らすことです。
気持ちを楽に取り組める方法から試してください。赤ちゃんとおうちの人が、楽しく過ごせるネントレを目指しましょう!