大人も子供も睡眠不足が肥満の原因になるって聞いたことがあるけど、それって本当?
赤ちゃんが眠らなくて困っているけど、これって食欲にも関係するのかな?
添い乳をすると寝るのは、お腹が空いていたから?
こんな疑問を感じたことはないでしょうか。
この記事では、このような睡眠と食欲に関する疑問を、過去の研究報告から解説していきます。
睡眠不足の赤ちゃん・子供は肥満になりやすい?
ダイエットの本を読むと、あらゆるところに良く眠ることが大切だと書いてあるのを見たことがある方は多いでしょう。これって大人だけ?赤ちゃんや子供の場合はどうなのでしょうか?
これについては過去に多くの研究が行われています。今日はそれをいくつか一緒に見て行きましょう。
(1)米国ハーバード大学での研究
915人の子供を対象に、産まれてすぐ、生後6ヶ月、3歳になった時の睡眠時間と体重の経過を追ったところ、乳幼児期に1日の睡眠時間が12時間以下であった子供は、3歳になった時に、12時間以上眠っていたグループよりも2倍近くの肥満率が見られました。
(2)米国UCLAでの研究
1930人の0ヶ月から13歳までの子供を対象にした研究では、0〜4歳の間に十分な睡眠時間をとっていなかった子供たちのグループは5年後の肥満率が80%も多いと報告されています。
これらの研究から、赤ちゃんの時の睡眠時間は、子供時代の肥満傾向に影響しているようだと分かります。
寝不足が食欲に影響するメカニズム
では、一体どうして寝不足が肥満につながるのでしょうか?
大人では、寝不足によって食欲が増進されるということがわかっています。
現在ではまだ、子供の寝不足と食欲の関係についてはわかっていないことが多いようですが、基本的には睡眠が食欲に与える影響は大人も子供もおそらく同じメカニズムだと考えられています。
そのメカニズムとは、「しっかり眠ることが、食欲をつかさどるホルモンが正常に分泌されることにつながる」ということです。
米国スタンフォード大学の睡眠の専門家の研究
1000人の健康な大人(睡眠時間8時間)を対象に、彼らに5時間だけ寝てもらい、毎朝血液検査を行ってホルモンの値を調べる研究が行われました。その結果、睡眠不足により食欲を増進させるホルモン(グレリン)の量が増え、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が少なくなったということがわかりました。これは睡眠時間が短くなる、つまり起きている時間が長くなる事で、よりエネルギーを必要とするため、体が食べ物を食べるように促しているのだと考えられています。
うちの子は肥満?子供の肥満の基準
0歳児の赤ちゃんにおいては、ぷくぷくしているのが当たり前です。自分で体を動かせる量が増えてくると、自然と脂肪がスッキリしてくることが多いのであまり肥満を気にすることはないでしょう。しかし、その基準は?あまりにも他の子より体が大きい(もしくは小さい)と少し心配になりますね。
そんな時に目安として使えるのが、以下の二つです。
1、母子手帳をチェック
母子手帳には成長を記録できるページがあります。6歳までは身長・体重がそのページの曲線内に入っているかどうかをチェックすることが肥満(または低身長)の目安として使えます。しかし、これはあくまでも目安です。この曲線の中に入っていないからといって、病気や異常がある可能性は低いので、慌てて食事やミルクの量を調整する事はありません。必要に応じて主治医に相談しましょう。
2、カウプ指数
乳幼児にはカウプ指数(3ヶ月から5歳の発育状態の程度を表す指数)という目安もあります。
体重と身長から求めた数字【体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)】によって、やせすぎ、痩せ気味、普通、太り気味、太りすぎを判断するものです。
大人のBMIと同じ計算方法で求めていますが、カウプ指数とは出た数字に対する判断基準が違うことに注意をしてください。年齢別のカウプ指数の基準は以下のようになります。
満3ヶ月 | 満1歳 | 満2歳 | 満3歳 | 満4歳 | |
やせすぎ | 14.5 未満 | 14.5 未満 | 13.5 未満 | 13.5 未満 | 13 未満 |
やせぎみ | 4.5 ~ 16 未満 | 14.5 ~ 15.5 未満 | 13.5 ~ 15 未満 | 13.5 ~ 14.5 未満 | 13 ~ 14.5 未満 |
標準 | 16 ~ 18 未満 | 15.5 ~ 17.5 未満 | 15 ~ 17 未満 | 14.5 ~ 16.5 未満 | 13 ~ 14.5 未満 |
太りぎみ | 8 ~ 20 未満 | 17.5 ~ 19.5 未満 | 17 ~ 18.5 未満 | 16.5 ~ 18 未満 | 14.5 ~ 16.5 未満 |
太りすぎ | 20 以上 | 19.5 以上 | 18.5 以上 | 18 以上 | 16.5 ~ 18 未満 |
添い乳での寝かしつけが効いているけど、睡眠中にお腹が空いてしまうの?
夜中に起きるのはお腹が空いている?
夜間だけ断乳をする“夜だけ断乳”という言葉を聞いたことがありますか?いつ頃から夜だけ断乳をして良いという明確な基準はないのですが、
- 離乳食が食べられる(ミルク以外からもタンパク質を摂取している)
- 成長曲線内にいる
- 健康に問題がない
などが目安になります。
生後7ヶ月頃になり離乳食を始めた赤ちゃんが、夜中に3、4回起きてしまう。
添い乳をすると寝てくれるのは、お腹空いている証拠なのかな?と思うお父さんお母さんもいると思いますが、夜だけ断乳ができる時期に差し掛かっている赤ちゃんの場合は、そうではないことが多いです。
夜中に目を覚ました赤ちゃんは、自分で眠りに戻ることができない場合、泣いてそれをお父さんお母さんに伝えます。また、一人でいることが不安なので、添い乳をする、もしくは授乳をすることで、赤ちゃんが安心してまた眠りに戻ることができるのです。
お腹が空いているからミルクを欲しているのではなく、安心感を求めてミルクを欲していると思ってください。
添い乳をやめる必要性
添い乳をすると寝てくれるから、という理由で夜中に起きた赤ちゃんに対してすぐに授乳をしてしまう人も多いですが、実はこれが赤ちゃんの眠りを妨げている場合があります。
上記に記したように、夜間の授乳が必要のない時期に差し掛かった子供に対しては、添い乳での寝かしつけはお勧めできません。夜間の授乳により、カロリー過多で肥満になる心配は不要ですが、お勧めできないその理由は、赤ちゃん一人ではできないことを睡眠のルーティーンにしてしまうと、一人で眠りに戻ることが出来なくなり、結果的に赤ちゃんの睡眠時間を奪ってしまうためです。
睡眠時間が少ないのかもと悩む場合は、お互いの睡眠時間を確保するためにも、自分一人で眠りに再びつける力を養ってあげるトレーニング(ネントレ)をしましょう。
眠らない、眠れない?将来への影響も真剣に考えてあげよう
子供によって睡眠時間に個人差があるのは当たり前です。ただ「うちの子は寝ない体質なのだ」と思うのは少し危険かもしれません。
前述したように、中には眠る事、眠りにつくことが得意ではない赤ちゃんがいるからです。そんな子供にはお父さんお母さんのサポートが必要になってきます。
「うちの子はきっと眠らなくてもいい体質だから」と割り切らずに、ネントレだけでなく日中の生活リズムや、睡眠環境の見直しをしてあげることも、肥満の予防をはじめとする、近い将来の健康につながるということを覚えておきましょう。
年齢別必要睡眠時間の参考にはこの記事を参照にしてください。
また、お昼寝が足りない赤ちゃんは睡眠不足になりやすいのでお昼寝の時間もしっかり計画的に確保してあげましょう。
まとめ
今日の睡眠不足は将来の肥満傾向につながる可能性があるという事を理解して、 睡眠が足りない赤ちゃんには、しっかり睡眠時間を確保してあげる環境を整えてあげましょう。