抱っこで寝かしつけた赤ちゃん。寝床に下ろして寝かせようとすると背中に床に触れた瞬間、ぱちっと目を覚ましてぐずりだす。まるで背中に目覚めのスイッチが入っているかのようですよね。
これって新生児に見られるモロー反射とも関係があるの?
寝かしつけの敵であるこの現象について解説します。
背中スイッチとは何か
やっと寝たと思って床やベッドに下ろした瞬間、途端に目を覚まし泣き始める。
「ああ、せっかく寝たと思ったのに…」という経験があるお父さん、お母さんは少なくないと思います。
これを繰り返す赤ちゃんを見ていると、まるで背中に目を覚ますスイッチでもついているのではないか?と疑ってしまいます。
これが『背中スイッチ』と呼ばれるものです。
背中スイッチの要因は「モロー反射」?
背中スイッチの原因はいくつかあります。そのうちの1つは『モロー反射』と呼ばれるものです。聞いたことあるような、ないような…そのモロー反射とは一体なんでしょう?
まず、“反射”とは大人にも備わっている、無意識に起こる体の反応です。
例えば、熱いものに触ったときに手をパッと引っ込めるというように、自分の意思とは関係なく体が動いてしまうことがありますよね。
赤ちゃんには、赤ちゃんの時だけ備わっている反射があるのです。これは原始反射と呼ばれます。生まれてすぐの赤ちゃんが、誰にも教わっていないのに母乳が飲めるのも、この原始反射の1つ(哺乳反射)です。
モロー反射は、急に頭を下げられた刺激により、無意識に体をびっくりしたように両手を広げ、さらに何かに抱きつくような動きをすることです。この反射は見られるべき時期と見られるべきでない時期があるので、病院の検診でモロー反射の有無を確認されることもあります。
病院の検診で行われるモロー反射の確認方法
仰向けに寝かせた赤ちゃんの頭を手のひらで支えながら30度程度起こし、手のひらに頭をのせたまま力を抜き、頭を少し落下させることでモロー反射を誘発します。生後すぐに見られ、生後4−6ヶ月頃には消失するのが、それ以上続くようであれば脳や神経系に異常が疑われることがあります。
背中スイッチとモロー反射の関係
眠った赤ちゃんを横にしようと、抱えた姿勢から頭を下げる、つまり“横に寝かせる”という行為自体がモロー反射を引き起こす刺激となってしまいます。
無意識に体をビクっとさせた赤ちゃんはこの刺激によって目が覚めてしまうのです。背中を触られることによって起こる反射、覚醒ではありませんが、誘発されるタイミング的に背中スイッチの1つとしてカウントされることが多いようです。
また、この刺激に敏感に反射を見せる赤ちゃんとそうでない赤ちゃんとで個人差があります。赤ちゃんによっては、横にしようと思うと毎回ビクッとしてしまう子もいればそうでない子もいます。
上の子はこんなに頻繁なモロー反射は見せなかったのに、と心配に思うことはありません。
モロー反射を起こさずに寝かせるためには?
おくるみを使う
おくるみをしてあげることで体がビクッとなることを最小限に防げます。おくるみをしたうえで、赤ちゃんが寝付く前に寝床に入れてあげるといいでしょう。
おくるみで巻くことは赤ちゃんが窮屈じゃないかと心配になる方もいますが、お母さんのお腹の中と同じような包容感が得られ、赤ちゃんにとっては心地の良いものだと考えられています。
オススメのおくるみ
色々な素材のおくるみがお店では売っていますが、熱がこもりにくく、汗も吸いやすいのでコットン素材のものがオススメです。
巻き方にも基本巻き、お雛巻き、半ぐるみなど色々な巻き方がありますが、モロー反射を抑えるためには、しっかり巻けるお雛巻きがいいでしょう。また、お雛巻きをすると赤ちゃんも自分でうつ伏せになりにくいので、SIDS(乳幼児突然死症候群)の心配も軽減できます。
お雛巻きの方法
- おくるみを横長に置き、赤ちゃんを布の中央に寝かせます。この時に、赤ちゃんは肘を曲げ、脇をしめて両手があごの下に来るようなポーズにします。
- 左上の布の角を赤ちゃんの左わき腹の下(向かって右側)に挟み、右上も反対と同じように赤ちゃんの右わき腹に挟みます。この時、手は布を重ねた部分から手が出るようになります。
- 赤ちゃんの膝を曲げ、両足の裏を合わせてた状態で布の左下の角を赤ちゃんの左肩の方向へ引っ張ります。右下も同様に右肩の方へ持っていきます。
- 両肩の布の角を首の後ろに入れ込んで止めます。
自分で眠りにつけるように練習をする
モロー反射のせいで目を覚ましてしまうことを避けるためには、横になった状態から寝かせることが1つの対策です。
つまり、抱っこ以外の方法で寝かせることがいいでしょう。その中でも、赤ちゃんにとってもお父さんお母さんにとっても理想的なのは、赤ちゃんが一人で睡眠ができるようになることです。
これには練習(ネントレ)が必要な赤ちゃんが多くいるので、過去記事を参考に実践してみましょう。
その他の背中スイッチの原因と対策
背中スイッチオンの理由はモロー反射だけでありません。抱っこから横に寝かせようと思った時に、体がビクッとなるわけではないけれど、目がぱちっと開いて起きてしまう赤ちゃんもいます。この背中スイッチは以下のことが原因であると考えられています。
落ち着かない姿勢
赤ちゃんは背中を丸めた状態の、体全体がCの字になる体勢が好きです。この体勢は、お母さんのお腹の中にいた時と同じポーズだから安心すると言われています。しかし、平らな床に寝かせる事で背中が伸ばされて赤ちゃんにとって落ち着かない姿勢になるため、目が覚めてしまうのです。
対策:Cの字のまま寝かせる
クッションやタオルを丸めて円のようにして使う事で、背中が丸まった形のままベッドに寝かせられるようにしましょう。ふかふかすぎるクッションは窒息の危険性もあるので注意してください。
寝床の温度が低い
寝床に下ろした時に、腕の中に抱っこされていた環境よりも気温が下がるため、寒くなって起きてしまう事があります。
対策:布団を温めておく
出来るだけ寝床に入れる前後の環境の温度差がないように、布団を暖かくしておいてあげましょう。
安心感を感じていたい
お父さんやお母さんと体がくっついていると、体温を感じたり、心臓の音が聞こえるので、一人じゃないという安心感があります。寝床に降ろされる事で、赤ちゃんには急に一人にされる不安が襲ってきます。
対策:一緒に横になる
赤ちゃんから急に体を話さずにゆっくりベッドに一緒に横たわって少しずつ体を離していくといいでしょう。
対策:安心感を与えるものを見つける
抱っこ以外に安心できるものを与えます。これは横にした状態でできることでなければいけません。例えば、ほっぺを撫でてあげたり、手を握ったりといった事で、赤ちゃんの好きな事を見つけてあげましょう。
しっかり眠りについていない
赤ちゃんの眠りは大人より浅い眠りの割合が多いので、抱っこで眠りに入ってすぐに環境を変えられると簡単に目が覚めてしまいます。
対策:眠りが深くなるまで待つ
抱っこのまま眠ってしまったな、と思ったら15−20分そのまま待ってみます。赤ちゃんがより深い眠りのステージに入る時間帯に寝床に移す事で、赤ちゃんの目を覚ましにくくしましょう。
まとめ
モロー反射も時期になると消失するように、背中スイッチも成長に従って消失していくものです。
個人差は大きいものの、終わりが来るものだと理解し、その間に我が子にあった方法を見つけるために色々と試してみましょう。