【歯科医監修】子どもの歯ぎしりって大丈夫?乳幼児の歯ぎしりを詳しく解説

子どもが寝ている間にギシギシ、キューキュー、カチカチと何か音が聞こえる。これってもしかしたら歯ぎしり?

子どもの歯ぎしりは心配すべきなのか、放っておいていいのか迷ってしまうお母さんは多くいます。

この記事で歯ぎしりと治療法について知り、必要な時に病院に連れて行く目安にしましょう。

 

そもそも歯ぎしりとは?

歯ぎしりとは寝ている間、または起きている間に上下の歯をすり合わせることです。

寝ている間に歯と歯がこすれあう不快な音がすると、一緒に寝ている人が気がつくことあり、歯ぎしりをしていると分かります。

また、歯ぎしりのように音がしない「食いしばり」をしている場合はなかなか誰も気が付かずに見過ごされていることもあります。 

食いしばりは睡眠時だけと思われがちですが、実は日中にも多く見られます。

上下の歯は寝ている時も起きている時も、当たることなく離れている状態が正常です。力を入れてぐっと食いしばっていなくても、何もしていないときに上下の歯が当たっている状態なのは、食いしばりの一種です。

この、歯ぎしりと食いしばりを合わせたものは歯科用語でブラキシズムと呼ばれます。

 

歯ぎしりしてるのってうちの子だけ?

子どもの歯ぎしりの統計

赤ちゃんの歯は、生後8ヶ月前後でまずは下の前歯が、さらに2ヶ月した頃から上の前歯が生えて来ます。

10〜20%の赤ちゃんは、その歯が生え始める頃から歯ぎしりのように上下の歯をすり合わせてもごもごとした動きを始めます。

6歳頃をピークに減っていく傾向にありますが、10歳の子供の40%に歯ぎしりがみられたという報告もあります。

つまり、歯ぎしりをする赤ちゃんや子供は決して珍しくはなく、多くのお父さんお母さんが目撃するものだと思っていいでしょう。

子ども・赤ちゃんの歯ぎしりの原因は?

では、なぜ歯ぎしりをするのでしょうか。実は歯ぎしりの原因は大人も子どももまだ解明されていないことが多いのです。
特に赤ちゃんの歯ぎしりは

  • 生えてきた歯の位置を調整するために歯ぎしりを行っている
  • 新しく生えてきた歯を使って噛む練習である
  • ストレスや不安
  • 遺伝が関係する

などの説が説かれていますが、詳しいことはまだわかっていません。

いずれにせよ、歯ぎしり自体は生理現象なので、子供が歯ぎしりをしているのを見つけたからといって、もしかしたら体の調子が悪いのかもしれない、と慌てる必要はありません。

 

心配した方がいい歯ぎしりってどんなの?

しかし、時には心配する必要のある状態になる事もあります。

それは以下のような場合です。このような場合は、歯科医師に話を聞いてみましょう。

歯ぎしりによる合併症

歯への影響

歯の表層はエナメル質と呼ばれる層で覆われています。大人のエナメル質はとても硬く、全身で最も硬い組織です。

しかし、乳歯のエナメル質は大人のものと比べるとそこまでの硬度がありません。よって、乳歯は歯ぎしりによってすぐに削れてしまいます。

エナメル質の下には象牙質と呼ばれる層があり、さらにその中の空洞に神経が通っています。歯ぎしりにより、歯がどんどん削れてしまい象牙質が表層に出てしまうと、神経が冷たい水などの刺激を感知して、痛みが出ることもあります。

痛みが強い場合は歯科医院で削れてしまった部分の表面を覆う処置が必要になることがあります。

また、力がかかって歯が欠けてしまい、欠けた歯によって頬の粘膜などが傷ついてしまい、出血をみることもあります。

顎が痛い

特に夜間の歯ぎしりはとても大きな力が働くため、歯だけでなく耳の前にある顎の関節である顎関節にも大きな負担がかかります。

顎関節症とは、

  • 顎が痛い
  • 口があかない
  • 口を開けると頬の筋肉が痛い
  • ジャリジャリと顎(耳の前あたり)から音がする

などの症状を特徴としますが、歯ぎしりによりこのような症状をみることも少なくはありません。

特に、起床時にこのような症状が見られる場合は、寝ている間の歯ぎしりが原因である可能性が高いです。

日中、起きている時の歯ぎしり

夜間寝ている間だけではなく、起きている間も歯を食いしばったり、すり合わせたりする赤ちゃんや子供も多くいます。

睡眠時ほどの大きな力で食いしばっていなくても、長時間力がかかることで筋肉の疲労を蓄積させます。

これによって肩凝りや、頭痛が生じることもあります。

年齢的に自分でコントロールがきくお子さんには、日中は上下の歯が離れているのが正常であることを教えてあげましょう。

お子さんが宿題やテレビゲーム、パソコンなど長い間何かに集中しているときに、頬の下あたりがピクピク動いているのも見つけたら、これは口の中で歯を噛み締めている証拠です。噛みしめる時に使う筋肉である、咬筋という筋肉がピクピク動いているのです。

お子さんも無意識にやっている場合が多いので、もしこれに気が付いたら、注意してあげるようにしましょう。

 

治療って必要?

乳幼児の歯ぎしりは、ある時期になれば自然と無くなるものなので特に治療は必要ありません。その他の先に述べたような異常が生じる場合もほぼないでしょう。

しかし、学童期の子供で弊害が生じている場合はマウスピースによる治療も選択肢の一つです。

 マウスピースでの治療

大人が歯ぎしりや顎関節に異常があって歯科医院に行くと、一般的に広く治療に使われるのがマウスピース(ナイトガード)です。

これは上か下(もしくは両方)の歯を覆う硬いプラスチックでできた、寝る時に口の中に入れ、噛み締める力のコントロールをするために使うものです。

寝ている間の口の動きを止めることはできませんが、歯ぎしりによって起こる二次的な弊害を防ぐことができます。

では、子供の場合にも同じような治療はできるのでしょうか?

子供用のマウスピースってあるの?

子供の少しの歯ぎしりならば特に治療は必要ありませんが、歯が削れすぎてしまったり、顎に異常がある場合は子供もマウスピースを使用することができます。

しかし子供のマウスピースは、大人のように硬いプラスチックでは全体を覆ってしまうと、顎の成長の発達に影響を及ぼしてしまいます。

よって、大人とは違い、柔らかいゴムのようなソフトタイプと呼ばれるマウスピースを作ることが推奨されています。

さらに、柔らかいタイプでも、子供の歯並びや顎の成長に合わせてマウスピースを変えていく必要があるので、年齢にもよりますが、約半年に一度交新しいものに交換して、その時の子供の体にあったものを使用していきましょう。

どこで手に入る?

マウスピースはどこで手に入るの?薬局で売っているマウスピースもあるけどあれってどう?というのも、歯ぎしりに気が付いたお子さんを持つご両親によくある疑問です。これに関しては、市販のものではなく、歯科医院できちんと製作することをお勧めします。

なぜならば、歯科医院で作ってもらった場合、マウスピースとマウスピースに当たる反対側の歯の噛み合わせの調整をしてくれるからです。

食いしばる時の力のコントロールはこの噛み合わせの調整によって効果が出ます。この調整がうまくできていることで、顎の関節にかかる圧力を減らすことができ、歯ぎしりによる弊害を最小限に抑えられます。

どうやって作られるの?

歯科医院で作ることができるマウスピースは健康保険が適応されます。

上下どちらの顎につけるのがいいかを歯科医師が決め、型取りをします。次に来院する時には柔らかいマウスピースができて来て、お口に入れたりはめたりしながら噛み合わせを調整します。

その日の夜から使用することができ、必要に応じて調整が可能です。

そのほかお家でできる改善法

歯ぎしりによる筋肉の使いすぎで筋肉が痛くなってしまった時は、痛い筋肉をストレッチしてあげることが大切です。

口を大きく開けると咬筋がストレッチされ、それにより血流が改善し、痛みの原因である炎症性物質を流すことができます。

また、暖かいタオルを痛みのある部位に当ててあげたり、お風呂で体が温まった時にマッサージしてあげるのも血流を良くする方法です。

 

まとめ

赤ちゃんや子供の歯ぎしりは多く見られる生理現象なので、大げさに心配する必要はありません。

しかし、痛みや口が開かないなどの異常がある場合は、歯科医院での定期検診の際に歯科医師に相談してみましょう。

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